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Thursday, June 28, 2018

要約の仕方について

今日は興味があって「優生保護法被害弁護団」を読んでいました。その中の一ページを例にとり、論文における他人の文の要約の仕方について一緒に考えたいと思います。

まず、見たページの中は次の形になります。
優生保護法被害弁護団のホームペー「優生手術被害当事者の声」
掲載開始日:2018 年 6 月 7 日 http://yuseibengo.wpblog.jp/archives/130 (2018.6.29 最終アクセス)
これは、いつも勧めているように、「論文作成の手引き」にある次の例を出発点にして、適宜文字を置き換えただけです。
八代市公式ホームページ「熊本県ひとり親家庭等ホームフレンド派遣事業」
掲載開始日:2011 年 6 月 2 日 http://www.city.yatsushiro.kumamoto.jp/list/list_view.phtml?catid =130205&arid=18643(2015.3.16 最終アクセス)
さて、次の文の内容を自分の論文の中に取り入れるなら、どうなるかについて考えたいと思います。
旧優生保護法は、障がい者を淘汰するための法律だったのでしょうか。提訴をきっかけに、旧優生保護法が人権侵害、幸福追求権、命の尊厳を根本から否定する法律だったことが明らかになってきました。
これを読んで、次のようにまとめたとしましょう。
旧優生保護法は人権侵害、幸福追求権、命の尊厳を根本から否定する法律であった。
  1. 要約の仕方はこれでいいでしょうか。このまとめ方に問題があるとすれば、どのように直すべきでしょうか。
  2. この記述には注が必要でしょうか?
次の文を例に考えてみましょう。
現在、強制不妊手術について明らかになってきていますが、これは過去の出来事では済まされないと思います。報道では提訴の話題が取り上げられ、また、最近では1973年に厚生省の衛生局長が「学問的に非常に問題がある」と事実上否定する発言をしていたことが日本医師会からの記録で判明しました。また、1988年、当時の学識経験者の証言として、「人権侵害がはなはだしい」とする厚生省に提出された報告書が放置されていた、ということも判明しました。
これはウェブページで佐藤みちこ氏による話となっています。次のまとめ方はどうでしょうか?
近年、強制不妊手術の非人道性を指摘する声が多いが、佐藤みちこ氏によると、1980年代までにもその学問上・人権上の問題が厚生省内で把握されていたはずだ。
  1. 要約の仕方はこれでいいでしょうか。このまとめ方に問題があるとすれば、どのように直すべきでしょうか。
  2. この記述には注が必要でしょうか?
最後に、次の文の扱い方について考えましょう。これは被害者の話となっています。
自分と同じように、手術を受けさせられた人は全国にたくさんいます。ですが、国にはごく一部の記録しか残ってしません。記録が残っていないから、手術に同意した親族を傷つけたくないから、手術を受けた事実を知られたくないから、などの理由で、声を上げられず一人で傷ついている人たちが、まだ全国にたくさんいます。
次のまとめ方はどうでしょうか?
手術を受けさせられた人は全国にたくさんいるが、一部の記録しか残っていない。手術を受けた事実を知られたくないなどの理由で、声を上げられない人がまだ全国にたくさんいる。
  1. 要約の仕方はこれでいいでしょうか。このまとめ方に問題があるとすれば、どのように直すべきでしょうか。
  2. この記述には注が必要でしょうか?